カスタムわいふ

「ねえ、ちょっと見て!」

妻が言う。

「これこれ、かわいくない?」

スマホの画面を見せつける。画面が白黒になってる。

妻はここ2週間くらいスマホのカスタムに凝ってる。なんかホーム画面とかアプリ画面とかを好きなようにいじれるらしい。

「おー、かわいい、かわいい」

僕は言う。

アプリの表示も自分で見つけた画像を切ったりおっきくしたりちっさくしたりして変えられるらしい。

楽天もアマゾンも白黒だ。

ネコがスマホの画面を見たらこんな感じなんだろうか。

防弾少年団の7人がそれぞれポーズをとってひときわ大きく表示されてる。スクロールするとそれがいくつも変わる仕組みらしい。

はい、防弾、はい、防弾、うん、防弾。

妻「ほら、ほら、ほらね。これどう?ねえ。どっちのほうがいいと思う?」

僕「そうだな…こっちのほうが…」

妻「うん、こっちのがいいんじゃない?」

もちろん、僕の話はあんまし聞いてない。

妻「これさあ、時計、いいのないんだよね…」

僕は小さな画面の中の時計を探す。時計はない。

少し考えて妻がカレンダーのことを言っていることに気づく。

僕「カレンダーな。」

妻「あ、うん、そうそう、分かるでしょ」

そこは問題じゃない、ということだ。

なんだ、最近増えたなあ、こういうの。間違ってるけど言い切る。僕もいろんな名前が出てこなかったり、今やろうとしたことを忘れたり。

「あれ、ほら、なんだっけ、ほらほら、あれさー」

どれさ。

オラオラ、出てこい出てこい…出てこない。

こうやって少しずつ、どうでもいいことを忘れて身軽になっていくんだなあ、と思う。

そしてまた、空いたところにどうでもいいことを取り入れる。

妻のカスタムはもうしばらく続くだろう。


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