オウジビョウボウとして夢に似たり

子供

暗い空のできるだけ遠いところを見て

一つの綿雪に焦点を当てる

その軌道を目で追いながら、そいつがどこに落ちるのかを見届けよう

空よりもさらに暗い灰色の点が、徐々に明るく白さを増していく

枝をすり抜けてそれはやがて音もなく目の前に着地する

きれいな着地だ うまい 

けれど一度目を離せばもうそいつがどこにいたのかわからない

雪に埋もれる車を見て、遠い夏を思い出す

                                                  

緑が覆い、絶えず虫の声が響く

庭に溢れるほど光が注ぎ、僕は汗をかく

家の中から母と子の楽し気な会話が聞こえる

テントとタープ、テーブル、チェアー、バーナー、

クーラーボックスには肉と野菜 

お茶とジュースと酒と氷は途中のスーパーで買えばいい

あと水着とシュノーケル、虫よけスプレー

僕たちは海に向かって移動する

アイスを買う 子供は溶かしてしまうのでカップのかき氷

前髪を額にへばりつけたまま彼らはそれを食べる

ついたらタープを張り、テントを張る 子供と一緒に海に潜る

夜はランタンを灯し肉を焼く 星を眺める 朝はオレンジジュースとサンドイッチ

僕はいつまでもこのままでいられればいいのになあと思う

                                                                       

さらに雪は降り積もる

静まり返った部屋の窓からそれを眺める

あの時から今までがつながっているということがよくわからない

いろんなことがすでに変わってしまった

そしてもうこのまま、ずっとこのままなんじゃないかと思う

                                                                                                 

世間はインフルエンザが爆発的に流行中

知ってる

僕もです

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