FF4、暗黒騎士とパラディン

ゲーム

セシルは暗黒剣を極めた暗黒騎士。彼はバロン王(偽物)の命により、無抵抗の人たちからクリスタルを奪う。罪の意識を抱えながら、このままではやばい、暗黒剣じゃゴルベーザ倒せない、本当の悪には勝てない、と気づいた彼は、やがてそんな自分に打ち勝ちパラディンへと転身する。自らの贖罪の旅を続け、仲間とともに大きな悪に立ちむかっていく・・・

暗黒騎士のほうが強いし、アウトサイダー的でなんかかっこいい気がする。FFに今までなかった必殺技も使えるし。そもそもパラディンってなんだ?プチギフトみたいな白魔法いらない。必殺技もないし。もうすこし暗黒騎士やらせてくれ!・・・中2のころはそんな風に感じていたものだった。

今は、そのセシルの転身の意味、成長の過程はよくわかるし、必然だったと思う。彼にはちゃんと良心が育まれていた。そうじゃなきゃ希望のない物語になってしまうし、多くの人の共感も得られない。希望のない物語なんて社会に出しちゃいけない。主人公は”正義”じゃなきゃいけない。
セシルは暗黒騎士である自分と対峙し、これまでの生き方を変えようと覚悟を持って剣をふるった。これまで積み重ねてきたものの間違いに気づき、その虚無感と闘った。そして、空っぽになった自分の人生に新しい価値を見出していく。やがて彼は仲間とともに大きな悪を倒し、ローザを王妃に迎え、実はすでに殺されていた本物のバロン王の後を継いで、国王としてその責務を果たしていくことになる。

暗黒騎士として一人で孤独に生きていくほうが楽だったかもしれない。暗黒剣によって強い力を手にいれられた。けどそれは、怒りや悲しみ、嫉妬など負の感情を力に変える剣だった。彼を変えたのは、なんだったのか。良心の呵責に苛まれ、迷いながらも彼は自分の上司であり、育ての親でもあるバロン王(偽物)に対し疑問を呈した。結果として、あの瞬間が彼の人生の分岐点になった。彼にそれができたのは、”彼はそういう側の人間だった”ということなんだと思う。偽バロン王のやり方に疑問を持っていたのは、セシルの部下たちも同じだった。彼はそういう側の人間たちに囲まれていた。
セシルは孤児としてバロン王(本物)に拾われ育てられた。本物のバロン王はまっとうな人間だったわけで、セシルにもまっとうな人としての思想や考えが育まれていたことは想像に難くない。そんな上司の部下たちもまた正義であった。

もともと暗黒剣は偽バロン王の命令で仕方なく極めたものだったが、しかしこれは、彼が孤児だったという背景を考えれば、成長途中の多感な時期に、スッとなじんでしまった(物語の始まりでセシルは20歳の設定、暗黒剣を極めるのに、例えば5~10年かかると考えたとして)とも考えられる。彼の本質にマッチするものではなかったかもしれないが、偽バロン王の思惑通り、そのタイミングにはピッタリ合ってしまったのだろう。もし彼が最初から偽バロン王に育てられていたら、彼は何の疑問も持たず、王に言われるがままに略奪を繰り返し、やがて暗黒剣に飲まれ、闇落ちしていたのかもしれない。

偽バロン王さえいなければ、本当のバロン王がずっと彼を育てていてくれたら、暗黒騎士を経なくても彼は最初から聖戦士としてやっていけただろう。少なくとも、自らの意志に反して弱者から略奪行為をすることはなかったし、自責の念にとらわれるような人生を送る必要はなかったと考えられる。

けれど”悪の根源”ゼムスがいて、バロン王は殺された。そしてセシルの人生も変わったといえる。彼が暗黒騎士の過程を踏むことは不可避だったといえる。

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